消費者契約法のはなし
2019年9月1日
平成29年6月3日に消費者契約法の一部が改正されました。あまり馴染みの無い法律かもしれませんが、消費者、すなわち普通に生活している我々誰もが関係するかもしれない法律ですので、この機会に簡単に紹介させていただきます。
消費者契約法とは、消費者と事業者が結ぶ契約に関する法律です。消費者と事業者との間に情報の質・量や交渉力に差があることを前提として、消費者の利益を守ることを目的としています。消費者の利益を守る観点から、事業者と結んだ契約について、契約に至る経緯などを考慮して取消したり、契約内容の一部を無効にしたりすることなどが規定されています。なお、事業者とは、会社などの団体や個人事業主など事業のために契約する者のことです。
最初に、消費者が事業者との契約の取り消しについて説明します。契約を取り消せる場合として、①事業者が消費者に対し『重要な事項』について事実と異なることを告げた場合、②事業者が消費者に対し将来における変動が不確実なことについて確実であると告げた場合、③事業者が消費者にとって不利益となる事実を故意に告げなかった場合、④消費者の求めにかかわらず事業者が退去せず、または消費者を退去させなかった場合、⑤過量契約を締結した場合が規定されています。①から④まではこれまでも規定がありましたが、今回の改正で⑤過量契約が追加されました。過量契約とは、高齢者の判断能力の低下などにつけ込んで大量に商品を買わせるような被害事案です。例えば、あまり外出しない高齢者に対して着物を何十着も販売するなど、その方にとって通常の分量を著しく超える物を販売する契約などのことです。
つぎに、契約条項の無効について説明します。契約条項が無効になる場合として、例えば購入した商品に欠陥があっても解除を一切認めないという契約条項については、今回の改正により無効になることが明示されました。その他、消費者保護の観点から消費者の利益を不当に害する条項は無効となります。
消費者契約法は改正の多い法律ですので、何かお困りごとがあれば専門家にご相談することで解決の糸口が掴めるかもしれません。