外国の財産を相続することになったら
2019年6月1日
日本でも国際結婚が珍しくなくなってきました。長年連れ添ってきた配偶者を亡くした場合、避けて通れないのが相続の問題ですが、配偶者が外国人であった場合はより複雑な手続が必要になることがあります。
外国籍の配偶者が亡くなり、外国の銀行口座や土地を相続することになるような場合、そもそも相続に関して日本の法律が適用されるのか、外国の法律が適用されるのかが問題になります。
一例として、日本法では遺言の作り方が民法で決まっていて、その方式から外れてしまっていると無効な遺言になってしまいますが、外国法が適用される場合は、タイプライターで作成された遺言など、日本法では無効とされる遺言も有効になることがあります。
また、日本では遺言や戸籍を直接銀行に持っていくなどして、裁判所を通さずに財産を相続することも可能ですが、日本の戸籍のような制度のない外国では、必ず裁判所を通さなければ遺産を相続できないという制度になっていることもあります。
他方で、外国には共同名義預金という制度(夫婦の共同名義預金にしておくと、一方が亡くなっても他方はその口座から引き続き入出金ができる)や死亡時支払制度(預金者が死亡したら、予め指定されていた受取人に自動的に預金が支払われる)などの日本にはない便利な制度があり、それらを使うと複雑な相続手続を経ずにスムーズに遺産を引き継ぐことが可能です。
日本国内でも簡単ではない相続ですが、国際化によってより複雑化してしまうのは避けがたいところです。