民法改正、特に大事なポイントは?
2019年5月1日
前回コラムで、平成29年5月26日に成立した民法改正について簡単にご紹介しました。
今回、改正内容について少し詳しくご紹介します。今回の改正のうち、私たちの日頃の生活にとって特に重要な点は、次の6点です。
①時効期間の統一。これまで債権の種類によってばらばらだった時効期間を「権利を行使することができることを知った時から5年間」に統一します。
②法定利率の変更。年5%から年3%にし、3年ごとに1%刻みで見直します。
③個人が、企業や他の個人の事業資金借入の際にその保証人になることを一定の範囲で制限します(本当にその人に保証する意思があるということを公正証書で確認するよう、貸す側に義務付けます)。
④約款(業者が、不特定多数の消費者を相手に画一的な内容の取引をしようとするときに準備する条項)は、基本的に有効とします。ただし、消費者の利益を一方的に著しく害するときは無効とします。
⑤買った物が欠陥品だったとき、これまで買主は特定物(その物に注目して取引する場合。中古品やペットなど)の売買の場合は、契約解除か損害賠償請求しかできませんでした。今後は特定物か不特定物かを問わず、履行の追完(補修、代わりの商品の引渡し、不足分の引渡し)、代金減額、損害賠償、契約解除をできるようになります。
⑥賃貸人に、敷金返還義務があることを明記します。また、通常損耗や経年劣化については賃借人に原状回復義務がない(=賃貸人はその分を敷金から差し引いてはいけない)ことを明記します。
改正民法は、平成29年6月2日に公布され、3年以内に施行されます。今回の改正には、④⑥のようにこれまでの判例のルールを明文化したものも、①②のようにこれまでの規定を大きく変えたものもあります。改正によって私たちの生活にどのような影響が生じるか、注視していく必要があると思われます。