「強制起訴」ってなんだろう?
2017年8月31日
先日、検察審査会により、東京電力の元社長らに対する強制起訴の決定が出た、とのニュースがありました。この強制起訴、検察審査会について今回はお話ししたいと思います。
刑事事件が起きた際に、それを起訴して裁判にかけるかどうかは、原則として検察官に裁量があります。検察官は、たとえ罪を犯したことが明らかであっても、被害が小さいとか、被疑者が深く反省しているなどの理由で起訴をしない、裁判にしないということもできるのです。
こうした検察官の判断が本当に妥当だったかどうか審査する、検察審査会という機関があります。検察官の判断がときには間違っているかもしれない、公務員や政治家の事件などでは、馴れ合いで起訴すべき事案が不起訴となってしまうかもしれない、ということで検察官ではない機関が再度判断することができるのです。
一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、この検察審査会の11人のメンバーは、裁判員と同じように選挙権を持つ一般市民から選ばれます。なので、みなさまもいつか選ばれる可能性が充分にあります。
不起訴になった事件の被害者等の申立があった際などに、審査が開始します。検察審査会が、起訴すべき、と判断した場合は、検察官が再度起訴するかどうかを検討します。検察官がそれでも不起訴と判断し、検察審査会がさらに、起訴すべき、と判断した場合には、強制起訴といって起訴されることになります。これが、今回の東電の事件になります。
強制起訴となった場合とは、つまり検察官が二度も不起訴と判断した場合なので検察官が裁判を担当することができません。この場合、弁護士が検察官の役割を担うことになります。
これまでに検察審査会が審査した事件には、水俣病事件,日航ジャンボジェット機墜落事件,薬害エイズ事件,明石花火大会事件といった著名な事件もあります。
裁判員以外にも、みなさまが刑事事件にかかわることはあります。そんな視点でニュースをご覧になるとまた違った面が見えてくるかもしれません。