高齢者を狙った消費者被害にご注意!
2016年5月4日
近時、主にご高齢の方をターゲットにして、架空の投資話を持ちかけたり、かつて原野商法の被害に遭って遠方の土地を買わされた方に『お持ちの土地を買いたい』と持ちかけて別の土地を買わせたり、測量費用などを出させたりする業者による被害が増えてきています。
先日、弁護士会多摩支部で、高齢者に対する消費者被害を考えるシンポジウムが開催されました。その席上、消費者センターに来所される相談者のうち、高齢者が占める割合が、顕著に増えているとの報告がなされており、多摩地域でも被害が広がっていることがわかります。
これら業者の特徴は、勧誘相手に対し、
「絶対儲かる」「あなただけに特別な情報をお持ちしました」
などと言って、投資話や商談を持ちかけ、あたかも、勧誘相手にとって必ず利益が出るかのような誘い文句を並べてきます(私だったら、そんな魅力的な話があったら、誰にも営業を掛けずに儲けを独り占めしたくなるところですが…。)。
さらに、業者の多くは、「あなたにだけ特別なお話をお持ちしたので、ご家族には内緒にしてください」などと申し向けて、勧誘相手に口止めを図ることが多いと言われています。そのため、家族や周囲の人たちは、ご本人が被害に遭ったこと気づきにくく、周りが気づいたときには、すでに被害額が相当ふくらんでいた、というお話しを、よくうかがいます。
このような業者は、銀行取引を使わず現金による決済を求めてくることが多いのも、特徴の一つです(ただし、銀行取引を用いている業者だから大丈夫、という趣旨ではありません。)。被害者が被害を回復するために裁判を起こして、判決を得て業者の財産を差し押さえようとしても、銀行口座を差し押さえられないようにするためです。
よく、消費者被害の事案は、被害が拡大しやすく、被害の回復が難しいことが多いといわれます。被害が発生する前、または、被害が僅少にとどまっている間に、いかにして被害を予防し、被害の回復を図るか、ということが、とても大切です。先ほどご紹介したシンポジウムでも、被害を予防するために、弁護士、消費者センター、社会福祉協議会などの関係機関が情報を共有し、連携した対応のできるネットワークを作っていくか、ということが、活発に議論されました。
「このような取引を持ちかけてきた業者がいるけれど、この取引を進めていいだろうか?」「業者から勧められてこのような取引をして、お金を払ったけれど、どうしたらいいだろうか?」ということについても、弁護士が相談に応じます。業者の活動状況によっては被害の回復を図ることができるケースもあります。
ぜひ、お気軽に、ご相談においでください。