消費者問題(押し買い)について
2014年1月20日
ここ数年、「訪問購入」、いわゆる「押し買い」という悪徳商法が増えています。突然家に押しかけてくるのは「押し売り」と同じなのですが、「押し買い」は、物を売りつけるのではなく、家にある高価なもの、例えば、貴金属や着物などを強引に買い取ってしまうのです。買い取りとはいっても、その価格は相場よりもすごく安いので、持ち去ってしまう、というほうが適切かもしれません。中には、「売れる物がない」と断ったのにもかかわらず、それなら…ということで、はめていた結婚指輪を強引に買い取られたというケースもあったようです。強引に買い取られてしまった物は、後になって返還を求めようとしても、「既に転売してしまった」などと言われて拒まれてしまうことが多かったのです。
しかし、この「押し買い」、形式上は「買い取り」であるため、従来は法律上の保護が十分ではありませんでした。特に、「クーリング・オフ」(8日以内の無制限解約)の規定が「買わされた」場合だけを想定していたため、「売らされた」場合(=「押し買い」)に適用できないという大きな問題がありました。
そこで、このような法律の不備を解消するために、今年の2月に特定商取引法が改正され、「訪問購入」=「押し買い」に対しても「クーリング・オフ」の規定を適用できるようになりました。これによって、仮に転売されてしまったとしても、ほとんどの場合、転売先の第三者に対して自己の所有権を主張できることになります(なお、買取の対象が家具や家電、自動車等である場合には適用がないので注意が必要です)。
ただし、これで万全かと言うと、そんなことはありません。何よりもまず、被害を未然に防ぐこと(例えば、知らない業者を安易に家に上げない、必ず家族に相談する、その場に家族が居合わせなければ相談するまでは物を業者に引き渡さないといった心がけ)が重要です。
それでも、もし「押し買い」の被害に遭ってしまった場合には、直ちに消費生活相談窓口や弁護士にご相談下さい。