消費者問題について
2013年10月18日
日々の法律相談の中で、「消費者問題」に関するご相談があります。消費者問題の種類は多種多様ですが、今回は、その中でも被害額が巨大になりやすい、投資詐欺について書かせて頂きます。
たとえば、電話で投資会社の「担当者」を名乗る者から勧誘を受け、「確実に儲かる。」「来月には値があがる商品があり、あなたにだけ用意できる。」などと言われて『金融商品』なるものを購入される方がいらっしゃいます。
購入後しばらく経ってから「担当者」に問い合わせると、「ユーロ危機で暴落してしまいました。いま解約すると損ですよ。」と言われてしばらく待ちます。その後、もう一度問い合わせると、「少し上がりました。まだまだ上がりますから待ちましょう。」などと言われます。結局、いつまで経っても解約に応じてくれません。それどころか、あるとき「担当者」から、「今の損を取り戻すには、追加で投資する必要があります。これを払わないとすでに投資した分も回収できませんよ。」などと言われて、追加でお金を払うよう言われてしまいます。
購入された方は、最初は「少しくらいいいかな」という気持ちでいらっしゃるのかも知れません。しかし、損が出たと思うと、やはり取り戻したいと思うのが人間の心理です。少しずつ支払ううちに、結局、何百万円ものお金を払ってしまいます。ところが、最後は「担当者」と連絡すらとれなくなり、お金も戻ってこないという事態に陥ってしまうことがあるのです。
これが明確な詐欺と言えるかは、証拠がないと分かりません。しかし、きわめて不当な取引には違いありません。他方、一度お金を支払ってしまうと、どれほど不当な取引であっても、取り返すことは実はとても困難なのです。
弁護士が通知を出しても、知らんぷりの業者もいます。また、「振り込め詐欺救済法」という法律により、金融犯罪に利用されている可能性のある口座の凍結を図ることができる場合もありますが、凍結させた口座に、支払ったお金がきちんと残っていることは稀です。
せっかく事務所までご足労いただき、ご相談をお受けしますが、お力になれないことも多く、弁護士として無念に思うことが一再ではありません。
個人的には、各地で講演会などをさせて頂いて、「被害の予防」に向けて、弁護士として一層の努力をしなくてはいけないと思っております。
本コラムをお読みの方々におかれましても、もし周りに「儲け話」で熱心になっている方がいらっしゃったら、注意をして差上げて下さい。その「儲け話」が本当に儲かる話なら、「担当者」がまず実践してしまい、誰かに教えてくれるはずはないのですから・・・。