逮捕されない刑事事件
2012年7月2日
刑事事件というと、みなさんは、容疑者(法律用語では「被疑者」といいます)が逮捕されて、取調べを受けるというイメージが強いと思います。
刑事事件の被疑者として逮捕されると、最大で23日間、身体を拘束され、その間に警察官や検察官の取調べを受けて、その期間内に検察官が刑事処分を求めて起訴するか否かを決めます。
このように被疑者として身体を拘束される場合には、当番弁護士制度や国選弁護人制度を利用して、弁護士による適切なアドバイスを受けることが可能です。
しかし、被疑者としては逮捕されずに、幾度かの任意の取調べを受けながら捜査が進められるという在宅事件というものがあります。この場合、当番弁護士制度や国選弁護人制度は利用できず、逮捕された場合のような23日間という厳密な期間制限もありません。そのため、捜査は長期化し、事件からかなりの期間を経過した後に起訴・不起訴を決める検察官による取調べを受けるなど、被疑者は不安定な地位におかれます。
交通事件などでは、気が動転している事件直後に警察官による取調べを受け、よくわからないままに自分に明らかな過失があるかのような供述調書が作成されてしまい、その後、検察官による取調べにおいても、自分の言い分をうまく伝えられずに、結局、事件直後の供述調書を前提とした新たな供述調書が作成され、簡単に起訴されてしまうようなこともあるようです。
被疑者には、黙秘権や供述調書の内容について訂正を求めたり、訂正を求めても修正をしてもらえない場合には署名・押印を拒むなど、いろいろな権利があります。在宅事件の場合にも、このような被疑者の権利について、弁護士による適切なアドバイスを受けつつ、取調べに望む必要があります。
もし、在宅事件の被疑者として捜査の対象となるようなことがありましたら、すぐに弁護士にご相談ください。