日弁連の委託援助事業
2012年3月8日
「いつでも,どこでも,だれでも良質の法的サービスを受けられる社会」を目指して,私たち弁護士は,様々な制度の構築に尽力して参りました。その一つに,日本司法支援センター(愛称:法テラス)があります。立川にもある法テラスは,法的サービスをより身近に受けられることを目的に平成18年10月に事業を開始し,以来,多くの方々に援助を提供してきました。
しかしながら,法テラスによる援助が受けられない事件が存在するのも事実です。例えば,法テラスの民事事件の援助制度は,主に裁判手続のみを対象としています。そのため,行政段階の各種手続は対象外です。この中には,障害者やホームレスの方々のための生活保護申請手続,外国人の在留資格変更や更新に関する手続等が含まれます。また,刑事事件や少年事件の援助も,一定の重い罪名の事件のみを対象としており,それ以外の多数の事件は対象外となっています。
これら対象外となっている数多くの事件に対応するために日弁連の委託援助事業が存在します。これは,平成19年10月に日本弁護士連合会が法テラスに委託した業務であり,9つの業務が実施されています。それらは,(1)刑事被疑者援助,(2)少年付添援助,(3)犯罪被害者法律援助,(4)難民認定に関する法律援助,(5)外国人に関する法律援助,(6)子どもに対する法律援助,(5)精神障害者に対する法律援助,(6)心神喪失者等医療観察法律援助,(7)高齢者,障害者及びホームレスに対する法律援助です(業務の詳細については,日弁連HPをご参照ください。
これら9つの業務はいずれも,弁護士による援助が必要な業務です。経済的負担から弁護士を依頼することが困難な方であっても,日弁連の委託援助を利用した場合,法テラスを利用した場合と同様,弁護士費用の立替え等の援助が受けられます。2009年度統計では,生活保護に関する援助業務だけでも1700件以上の利用がありました。法テラスが利用できない問題を抱えておられる方であっても,日弁連の委託援助制度が存在しますので,是非,お気軽に弁護士にご相談ください。