児童虐待
2012年1月18日
児童虐待というとどのような行為を思い浮かべるでしょうか。
2000年に制定された児童虐待の防止等に関する法律では、児童虐待とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう)がその監護する児童(18歳に満たない者)に対し、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(育児放棄、監護放棄)、心理的虐待をすることと定義しています。身体に外傷を生じさせたり、そのおそれのある暴行を加える身体的虐待はもちろん、日本ではタブー視される性的虐待、著しい減食や長時間放置するなどの育児放棄、著しい暴言や拒絶的態度をとるなどの心理的な虐待も含まれているのです。
児童虐待の被害者は抵抗力のない子どもであり、子どもを保護すべきことはもちろんですが、児童虐待をする者は子どものころに児童虐待を受けていたかつての被害者であることが多いと多くの研究の結果で発表されているように、児童虐待をしている保護者もある意味では保護すべき対象であると言えるでしょう。
このように児童虐待は様々な側面を有する複雑な問題です。弁護士も、子どもの保護、児童虐待をしてしまった者の保護など、様々な局面から活動をしています。
具体的には、子どもの保護として、子どもが気軽に電話できるように、東京弁護士会では子どもの電話相談を設けています。ここで子どもの側からの声をキャッチし、弁護士が児童相談所や保護者の方と協議をしたりします。また、非行をなしてしまった少年の弁護活動や付添人活動を通じて、家庭環境の調整を図るといったこともあります。
保護者の保護としては、児童虐待を起こしてしまい刑事事件となってしまった方の刑事弁護を通じて、二度と同じことを繰り返さないために精神科の医師の話を聞きながら更生の道を模索したり、児童虐待をしてしまうと悩む保護者の相談に当たることもあります。
多くが家庭内の問題であり、複雑な様相を示す児童虐待だからこそ、その解決に向けて活動されている自治体のみなさまとも協力関係を築き、問題解決にむけて一緒に活動させていただくことができれば幸いです。