マンション問題
2011年8月15日
多摩地域にもマンションが多数ありますので、マンションをお持ちの方も多いと思います。1つ1つの部屋はそれぞれの住民の所有物ですが、エレベーターや廊下などの共用スペースについては、住民が共同で所有するわけですから、様々な問題が起こりえます。
特に問題となるのが、管理費や修繕積立金など(管理費等)の滞納です。管理費等が不足すると、共用部分のメインテナンスが十分にできなかったり、大規模修繕の際の負担が大きくなるなど、マンション住民全体の不利益になります。
きちんと管理費を支払っている住民としては、他の住民による管理費滞納は、頭の痛い問題です。
管理費を滞納した場合、法的に行われる手段としては、通常の「訴訟」、つまり裁判が考えられます。すなわち、管理組合から、滞納者に対して、滞納管理費等の支払を求める裁判が起こされるのです。しかし、通常の裁判には、時間もコストもかかります。
そこで、「支払督促」や「少額訴訟」という、より簡単な手段が執られることもあります。
「支払督促」は、相手(滞納者)が2週間以内に異議を出さないと、裁判をしないですぐに強制執行が可能な決定が出されるというものです。
「少額訴訟」は、滞納額が少額(60万円以下)の場合に利用できる裁判手続で、原則1日で審理が終わり、判決が出るという、通常の裁判に比べてとても簡易なものです。
また、管理費等については、優先的な配当が得られる「先取特権」がありますので、それに基づいて、区分所有権(その住民が所有しているマンションの部屋)に対する競売の申立が行われることも考えられます(この場合、裁判などをせずにいきなり申立をすることができます。)。
ただ、この場合、区分所有権に住宅ローンなどの抵当権が設定されていると、管理費よりも抵当権が優先されます。 なお、管理費等の滞納は、区分所有者が代わった場合にも、新しい区分所有者に引き継がれます(「特定承継人の責任」)。売買や競売でマンションを取得する場合には、前所有者の滞納管理費を請求される可能性がないか、注意しましょう。