裁判員裁判
2011年7月8日
1 はじめに
2009年5月21日、裁判員裁判が開始しました。2011年の3月までに立川の裁判所で実施された裁判員裁判の数は71件、全国で8番目の多さです。詳しいデータは、最高裁HP(http://www.saibanin.courts.go.jp/index.htm)に譲るとして、本日は、裁判員裁判における弁護士側の取り組みを紹介します。
2 法廷でのプレゼンテーション技術向上へ向けた取り組み
裁判員裁判では、これまでの書面中心の裁判とは異なり、分かりやすく、説得力のあるプレゼンテーションを法廷でしなければなりません。しかし、残念ながら、法廷でのプレゼンテーション技術という点で、弁護士側は、検察官側に遅れをとっています。実際、最高裁のアンケート結果によると、弁護士の説明が分かりやすいと感じた裁判員は4割に過ぎませんでした。そのような中、私たち弁護士は、定期的に研修を重ねて、より良いプレゼンテーションができるよう研鑽を積んでいます。研修では、これまで意識してこなかった多くの点について指摘されます。例えば、アイコンタクトをとる、難解な言葉を使わない、一文を短くする、ポイントを明確にする、など指導は多岐にわたります。
3 裁判員裁判の判決の検証
最高裁が公表した資料によると、強盗致傷罪や強姦致傷罪等の犯罪について、従来の裁判と比べて、裁判員裁判の方がより重く処罰されている傾向が窺えます。しかし、事件は多種多様であるため、厳罰化傾向が進んでいるとは一概に言えません。もっとも、どのような事情が、被告人にとって有利ないし不利に扱われるのかについて、これまで以上に、深い検討が必要になったのは事実です。一例を挙げれば、弁護士がよく主張する「前科がない」、「示談をした」、「反省をしている」などの事情は、これまでの裁判では有利な事情として考慮されてきましたが、裁判員の中には、疑問を抱く方も多いかもしれません。現在、私たちは、効果的な弁護活動を実現するため、裁判員裁判の判決を検証し、どのような事情がどのように考慮され、判決に反映されているのかを調べています。
4 最後に
少しでも、分かりやすく、そして、身近に感じられる刑事裁判を目指して、私たち弁護士も頑張り続けます!