相続-争いを長期化させないために-
2010年11月1日
今回は、ご親族がなくなったときの相続手続についてお話しします。
まず、遺言書があるときは、遺言に従って各遺産の移転手続を行うことになります。その際、前回お話しした公正証書遺言がなされている場合には、裁判所による検認手続(遺言の存在とその内容を確認するもの)を行う必要がないので、迅速に遺産の移転手続を行うことができます。
では、遺言がないとき、残された相続人はどうしたらよいでしょうか。相続人が複数いる場合、まずは話し合いによって各遺産を誰に相続させるのか決めることができます。これを遺産分割協議といい、その内容については遺産分割協議書という書面に残すことをおすすめします。遺産分割協議書も、公正証書のかたちで作成することができますし、弁護士にその作成や他の相続人との話し合いを依頼することもできます。
以上のような協議による話し合いでの解決ができないときは、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てる必要が生じます。その際、弁護士に依頼すれば、申立書の作成から調停期日への立会いまでしてもらうことができます。
しかし、調停も家庭裁判所に場所を移した話し合いです。他の相続人との合意ができない限り、調停は成立しません。そのような場合には、遺産分割の審判により、家庭裁判所が遺産の分配方法を決めることになります。
このように、遺言がないときは、家庭裁判所の手続によらなければならず、争いが長期化するおそれがあります。残されたご親族の間で無用な争いが生じないよう遺言書を作成しておきましょう。
また、遺産分割手続においては、弁護士が活躍する場面が多くあります。従って、ご自身が相続人となった際には、お気軽に当事務所にご相談ください。