障がいのある方へのリーガルサポートについて
2010年4月17日
1 弁護士に何ができる?
人は誰でも、生命、身体、財産などを不当に損なわれない、自分にとってふさわしい環境を選ぶことができる、などの権利を持っています。しかし実際には、身体的障がい、精神的障がいなどのために、これらの権利行使、または侵害からの防御が、十分にできないこともあります。 そのようなときに、弁護士は、たとえばどのようなことができるでしょうか。
① まずは、不当な財産的負担をおわされたときなどは、ご本人の代理人として介入し、ご本人の代わりに相手方と交渉し、契約を解消し、債務を整理し、ときには奪われた 財産を取り戻す、などの活動が考えられます。
② また、ご本人の判断能力が十分ではないときは、成年後見制度を利用し、本人の判断を補充しつつ、ときには後見人として本人に代わり状況の整理にあたることも考えられます。
③ 施設入所、生活保護受給その他生活支援に、法律専門家として関わることもあります。
④ そのほか、各専門職とチームとして連携しつつ、全般的な法律知識を生かし、解決の方向性を見据えた全体的な調整を図ることもあります。
⑤ その他弁護士は、その持てる法的知識をフルに生かして、ご本人の権利擁護のために、さまざまなことを行うことができます。
2 まずは相談を!
障がいのある方へのリーガルサポートは、弁護士の取り組みがまだまだ遅れている分野です。また、この分野で弁護士が役に立つのかということについては、福祉現場のご理解を得る努力も、まだ十分ではないと感じることもあります。
しかし、障がいのある方への権利侵害について、弁護士が適切な時期に適切な方法で関わることで防げるはずのものは、本当に多いように感じます。時には、「もっと早く教えてく れれば、違う手も打てたのになあ…」と思うこともあります。
「権利擁護」は、弁護士の仕事です。「これはご本人の権利が侵害されているのでは?」と感じられるようなことがあったときには、とりあえず、早期に積極的に、弁護士に相談をしてみていただければ、と思います。もつれた糸でも、そこで一緒に考えることで、解決の糸口を見つけることができるかもしれません。