「家事全般」 ~後編~
2009年7月17日
■相続関係
相続についても、家庭裁判所を利用することで円満な解決を図る手助けになります。
「大して財産もないし、親族間で仲がよいので自分には関係ない。」と思っていても、いざ相続となると些細なトラブルや誤解により関係や問題がこじれてしまい、遺産分割などが円滑に進まないこともあります。また、遺産の中に農地や賃貸物件が入っていたりすると、簡単に分けることができない場合もあります。更に、親族が多く、相続人を探すだけでも一苦労という場合もあります。
このような場合に解決を図るには、まず調停をします。
調停でうまくいかなかった場合は、審判や裁判などの手続きを利用することを考えてみるとよいかもしれません。
また、そもそも自分の相続分はいらないという場合は、後々の混乱や紛争を避けるために、相続人が亡くなったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしておいたほうがよいでしょう。
■成年後見
高齢者介護の問題の一つとして、または何らかの病気のためにお金の管理などができなくなった場合、その人に代わって財産を管理する人として後見人を選ぶ必要が出てくることがあります。この場合、裁判所で成年後見開始の審判が必要になります。前号のはじめに書きましたが、この場合は相手方との争いのない場合なので、調停を利用することはできません。
後見人には、親族がなることができることはもちろん、場合によっては社会福祉士・司法書士・弁護士などの専門家になってもらうこともできます。
「後見」というほどではないけれども、財産管理などが十分にできない場合は、そのお手伝いをするための人として保佐人や補助人をつけることもできます。この場合も裁判所の審判が必要になります。
これらの手続きも自分でもできますが、資料収集・書類作成などに手間がかかったり、債務整理の必要も絡んでくるような場合もあります。また、どの手続きを選択すべきかの判断もご自分では難しい場合もあります。
このような場合、まずは弁護士にご相談いただければと思います。
■さいごに
以上2号にわたって家事事件の説明をしてきましたが、いずれの問題についても、自分一人でできるかどうか、何からどういった方法を採るのがよいかなどお困りになりましたら、まずは弁護士にお気軽にご相談いただければと思います。少しでもみなさまのお役に立つことができれば幸いです。