2018年2月1日付で入所しました。これまでは近隣の法テラス多摩法律事務所で勤務していました。
法テラス(正式名称「日本司法支援センター」)は、国が設立した公法人です。そこでは、主に高齢、障害、貧困等の生きづらさを抱えていて、収入や財産が少ない方のためにリーガルサービスを提供してきました。たとえば、悪質な金銭の取り立てを受けていた認知症の高齢者の方のために出張法律相談に出向き、借金問題に困っていた精神疾患の方のために、入院先に通って破産手続の準備を進め、配偶者から離婚を切り出されて困っている方が、病気のため外出が難しかったので、ご自宅まで出張して調停や訴訟の依頼を受け、大家さんから部屋を出て行ってほしいと言われた高齢の方のために、行政と協力して引越先を探し、交渉で得た立退料で生活の場を移してもらい、今日寝る場所がないと言って訪ねてきた方のために、一緒に生活保護の申請に行き、と多摩地域を縦横に飛び回る日々でした。その過程で、行政の職員の方々や社会福祉協議会等福祉関係者の方々と支援の役割分担をしたこともしばしばありました。そこで、せっかくご縁があって多摩地域で仕事をしたのだから、もっと地域の方々のお役に立ちたいと考え、多摩パブリック法律事務所に入所しました。
「専門は何ですか?」とよく訊かれます。苦手な質問です。考え込んでしまいます。「何もありません」というのも気が引けます。前向きな答えをすれば、困っている方のためならどんな事件でも扱おうと思っています。
比較的数多く取り組んできたのは、刑事事件です。刑事事件は、話の聴き取り、証拠の収集、書面の作成、口頭での弁論など、法廷弁護士としての技術を磨くのには格好の場です。また、依頼者には社会資源の乏しい方も少なくなく、そうした方々に支援を提供する力も身につけることができます。フットワークも軽くなります。刑事で培ったこうした知識・経験・技術を刑事以外の分野にも転用して、皆様のお役に立てるように取り組みます。よろしくお願いいたします。
著書:
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「修復条項(特約)がある不動産売買契約において、引渡し前に天変地異により生じた建物の傾きを売主が修復して引き渡さず、修復義務を履行していない場合でも、売主の帰責事由がないとされた事例」建築紛争事例研究会編『図解建築紛争事例便覧』(新日本法規)508ノ132頁 |
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「包摂か排除か―福祉的支援を確保して懲役刑を回避した事案」季刊刑事弁護81号21頁(2014年。第12回新人賞優秀賞) |
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東京弁護士会法友全期会債権法改正特別委員会編著『弁護士が弁護士のために説く債権法改正〔改訂版〕』(第一法規、2016)分担執筆 |
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「東京法廷技術アカデミー第5回法廷技術ワークショップ報告 5日間研修で個性を活かした法廷技術を学ぶ!」季刊刑事弁護87号218頁(2016年) |
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「therapeuticな司法」更生保護法人自愛会会報第5号1頁(2020年) |
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「東弁往来第69回弁護士法人多摩パブリック法律事務所~パブリック系弁護士は、今日も地域のためにがんばっている~」東京弁護士会LIBRA20巻7・8号36頁(2020年) |
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「大阪障害者グループホーム利用停止訴訟の問題の焦点―大阪地判令和4年1月20日(平成30年(ワ)第5280号)共同利益背反行為の停止等請求事件」ソーシャルワーカー最前線現場主義第8号30頁(2022年) |
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「パブリック事務所の現在(いま)第4回 せらぴゅーてぃっくな法律事務所―多摩パブリック後編―」東京弁護士会LIBRA22巻9号36頁(2022年) |
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「この弁護士に聞く[40] 贄田健二郎」(加地裕武弁護士と共にインタビュアーを担当)季刊刑事弁護110号4頁(2022年) |
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「ブック・レビュー 各論的問題から捜査法の論理を読み解く―緑大輔著『刑事捜査法の研究』」季刊刑事弁護116号159頁(2023年) |